米ぬか・有機米ぬかがどのようにして洗練されたギフト市場に踏み込んだのか?──醤好糠

2019.05.15

茶色い長方形のギフトボックス、そして白色のカバーには、一枚一枚お米の形をしたイラストが描かれ、その筆遣いはまるで墨で圏点をつけたかのようであり、自然な技法により描いたものに見えます。ある箇所には昔ながらの窓飾りのようなラインが描かれており、時間の深さと流れが溶け込んでいるかのようです。また、別の箇所にはブランド名である「醤好糠」が質実な字体で書かれており、タグには「ぬか層・胚芽100%」と表示されています。 

オリジナル米ぬかペーストで、米ぬかの栄養価値に改めて着目 

これは農業委員会の助言により、「玉山碾米工場」と「ATSAI Brand Design」がコラボレーションした作品の一つです。三代目経営者である廖偉志の祖父が設立した玉山碾米工場は、「台湾を愛し、農民を愛し、よい品質を守り抜く」という教えを堅持しており、今に至るまで既に60年間も受け伝えられ、確実で豊富な選米・精製技術を有しています。一律に高単価で安心な台湾米を採用し、単一品種の販売を行っており、決して混合米ではありません。

しかし時代の変化に伴い、廖偉志と妻である荘雅琴は、米関連健康食品の開発を始めました。彼らはまず「米ぬか」の栄養価値に着目しました。──稲を刈り取り天日干しした後、精製工場でもみ殻を取り除くと玄米になります。玄米から「ぬか層」と「胚芽」を取り除いて精米したものが、普段口にしている白米です。

以前米ぬかは腐りやすかったこともあり、さほど重要視されていませんでした。しかし科学的な研究によると、米ぬかは食物繊維が豊富であり、米ぬかのタンパク質には必須アミノ酸が含まれています。また低アレルギー性であることが示されているので、ベビーフードに使用されています。米油における脂肪酸組成は、オレイン酸が約40%、リノール酸が約34%を占め、各種生理活性物質により健康機能を有するようになります。

しかし米ぬかは比較的ざらざらしているので、水に溶かして飲んだとしても、口当たりはやはり良くありません。そこで、廖偉志と荘雅琴の二人は絶え間ない模索と試みにより、米ぬかの保存期限を延ばす方法を見つけ出します。有機米のぬか層と胚芽を取り除くと「有機米ぬか」となり、油、塩、砂糖等のシンプルな食材を一定の比率で混ぜ合わせることで「米ぬかペースト」が出来上がります。トーストやパンに塗ったり、ご飯や麺と混ぜることもでき、また近いうちにピーナッツ味とごま味を提供する予定です。

よく使用されている言葉と結びつけ、台湾の良質な米ぬかによる繊維食の新しいポジションを確立

また、玉山碾米工場は「黒米茶」も推し進めており、独占的に日本より設備を導入しました。黒米の表皮を水にさらした後に素早く溶かし、同時に低温処理することでアントシアニンが保たれます。これら生み出したものは当地の農産物と伝統的な飲食文化を結びつけたもので、栄養が十分にあり、味も香りも良いものです。ATSAI Brand Designは顧客の要望に耳を傾け理解した後、市場の変化、消費の傾向、チャネルの観察に基づいて、製品自身に重点的に焦点を当てることを決定しました。

ATSAI Brand Designは、茶、米、パン・焼き菓子等の領域を長期的に深く掘り下げ、「デザインは感銘を作りだすパワー」であることを信じ、デザインが暮らしを満足させ創造させていくものと考えています。デザインにはブランドの伝承、ブランド特性の伝達、顧客獲得とセグメント、市場での認知、価値の創造等の数多くの訴求を有し、市場において販売に関わる一面を持ち、市場との対話では重要な役割を担っています。

そこで米ぬかから出発して、有力なブランドである「醤好糠」を生み出したことをコミュニケーションの架け橋とし、米ぬかの長所と「これはいいもの(這樣好康)」というよく使われている言葉を呼応させました。商品のイメージ上、すべてのビジュアルには「米」を採用し、米粒のイメージを取り入れています。また、淡黄色をベースとしており、これは円満、生態の好循環、品質の保証を意味しています。「玄米の栄養を完全に含有」を強調して、「台湾唯一の良質な米ぬかによる繊維食」という米ぬかペーストブランドのポジションを際立てます。

廖偉志は新ブランドの誕生を非常に喜び、醤好糠のようなブランドが異なる世代を結びつけ、異なる民族における米食に対するイメージを開くことを期待しています。そして、稲作に代わる産業の発展に新しいエネルギーを投入してブランドを作り上げたことにより、洗練されたギフト市場に足を踏み入れたのです。